それは、大きな川だった。
川幅がとてつもなく広い川だった。
しかし、深くは無い。
所どころに、深みはあるものの、渡れない川では無かった。
私はスーツを着て、カバンを持って、この川を渡っていた。
65歳になっても、なんでこんな仕事をしなければいけないのかと、考えながら、そしていつ深みにはまるのかと、不安を抱えながら、黙々と渡っていた。
もう辞めよう。
もう辞めよう。
この川を渡りきったら、この仕事を辞めるのだ。
渡りきる途中で目が覚めた。
まだ頭がはっきりしていなかった。
そうだ、もう私はあの仕事をしている私では無かったんだ。
いつも夢にうなされるのは、40数年前に学校を卒業して始めて就いた仕事だ。
よっぽど嫌だったんだと、今になって本当に思う。
よく、三年も続けたものだ。
しばらく、ぼ~としていたら、今現在の自分が分かった。
良かった。
もう昔の仕事をやっていないのだ。
今の仕事はあの頃から比べると、本当に楽だ。
この仕事をやっている今は本当に幸せだ。
あらためて、65歳になっても、楽しく仕事をさせてもらえる、会社に感謝の気持ちが湧いてきた。
身体が続く限り、会社がもう来なくていいよ、というまで、楽しく仕事をさせていただこうと思う。
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