保身



「保身」という言葉がある。

自分の頭に急に・・・現れた。

意味を調べてみた。

自分の地位・名声・安穏(あんのん)を失うまいと気をつかってふるまうこと。



私の数々の失敗の中で、今でも一番思い出す、恥ずかしい思い出がある。

それは、中学2年生の時だった。

年に一度の学習発表会、私は理科の実験を担当した。

一升瓶に水を入れ、その中に小さな浮きを入れ、上から圧力をかけると、その浮きが下に沈んだり、上がったり、コントロールできる演技、これは大成功。

次の演目は手にベンジンなどの発火性の物を塗りたくり、火をつけ燃やし、手がやけどしないというものだった。

うろ覚えだが、濃い塩水を手に付けてから、火をつけると、火傷しないということらしい。

私は大きな声で、手品師ごとく説明しながら、火をつけた。

しかし、ついた火はしょぼいものだった。

たぶん、つける量が足らなかったのだろう。

そのあとがいけなかった。

私は自分自身ではだめだと思いながらも、再挑戦すること無く、会場の皆様方に拍手を強制したのだった。

今思えば、顔や頭から火が出るほど、恥ずかしい。


この記憶が私を変えたかもしれない。

言い訳はしない。

全て自己責任だ。

格好をつけない。

あまりによく見せようとしない。

人に頼らない。

人と比較しない。

自分と比較する。

今もこの思いで生きている。

保身をするための、一つのウソが、二つになり、十個になり、ついには何が嘘で何が事実なのかも自分自身で分からなくなる。

家電業界に勤めているときに、今思えば詐欺師だったんだろう。
あっちこっちの店で詐欺を働いていたらしい。
私が呼ばれ、応対した時、相手が言っていることは事実でないにもかかわらず、あたかも顔色一つ変えず、要求を繰り返した。
最終的には公的な監査が入り、詐欺だということが分かった。

「保身」も度が過ぎれば、これに値するだろう。


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