池井戸潤 かばん屋の相続


銀行ものだ。

そして、ミステリー。

6つのタイトルがある。

はじめは 「十年目のクリスマス」

周到に準備された倒産劇だった。

世の中にはこんなこともあるだろうと思わせる。

賢い社長だ。


それと、対照的なのが 最後の「かばん屋の相続かばん屋の相続」

兄弟の骨肉の相続争い。

なんか、京都であった話を思い出した。

倒産するのが分かっていた、死ぬ間際の社長。

そのことを知らず、一流の銀行で出世レースから外れた、エリート意識満々の長男が
ごり押しで会社を引き継ぐ。

しかし、すぐに多額の保証人になっていることが分かり、にっちもさっちも行かなくなる。

従業員の大半は弟が新しく立ち上げた会社に元の会社を辞め行った。

物作りの会社が、その物を作る職人がいないことはさらに致命傷に。

銀行での出世をあきらめ、社長と言う言葉に周りが見えなくなった。

わしは賢いんだという、エリート意識が更に盲目にさせたのだろう。

最後の数ページのどんでん返しが楽しみで、最後を見たいと言う欲求を抑えながら読むのはすこしつらかった。




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