読書 読書感想:重松清 著 《 その日のまえに 》

 


重松清氏の本を読むのは初めてだ。

2021年の10月15日に届いたが読了したのは令和4年の1月12日(水)だ。

短編集 《その日のまえに》

飛行機雲

朝日のあたる家

潮騒

ヒア・カムズ・ザ・サン

その日のまえに

その日

その日のあとで

7つの短編集だが、どこかでみなつながっている。

泣かせる、本当に泣かせる 小説でした。


今から、32年前、1990年4月1日~9月30日まで大阪で「国際花と緑の博覧会」が開催された。私と私の妻と妻の母親は花博を見てから、三人で有馬温泉で一泊した。

その時、義理母親はすこししんどそうだった。

温泉から帰ってきて、検査したら義母は末期の肺がんと分かった。

妻と私は義母が入院している総合病院まで車で行った。

病院前に車を停め、妻は見舞いに行ったが、私はいけなかった。

号泣するのが分かっていた。

もし、義母に末期の肺がんと告知していなかったらと思うとどうしても行けなかった。

こころよわく涙もろい私は・・弱虫です。

それから、しばらくして自宅に戻った義母は間もなく息を引き取った。

この小説を読みながら、32年前のことが思い出され、涙で文字が読めなかった。


飛行機雲 

小学校6年生のガンリュウとあだ名された女子生徒の死。物語はここから始まりつながっていく。

朝日のあたる家 

夫を亡くした高校教師とその教え子が30歳になったころの物語。

潮騒 

飛行機雲の町に住んでいたのは小学校三年から4年のたった2年間。その間の夏のある日友達は溺れてなくなった。いや、亡くなったのもわからない。死体を見つけることはできなかったから。余命三カ月と宣告された。今日から「晩年」が始まる。胸が張り裂けそうだ。家族に悟られるわけにはいかない。たった2年しか住んでいなかった町にしんどい体をいたわりながら電車でやってきた。忘れられない思い出を幼馴染と話した。本当につらい物語だ。

ヒア・カムズ・ザ・サン

強い、お母さんだ。私にはまねができない。

その日のまえに

愛する妻の末期がん。45歳、なんでこの小説はみなこんなにも若い人々を病気にするのか。

新婚時代に住んでいた町に行き住んでいたアパートを見る二人。

私も50代半ばにかって住んでいた、場所7か所を250㏄のバイクで巡ったことがある。

何にも病気でもないが行ってみたかった。

その日

その日の準備をする。幼い子供二人。私にできるだろうか。今年70歳になる妻が余命宣告されたら、私はその日の準備などできる・・自信がない。

そんななかでもこの小説の主人公は会社を経営している身に休みはない。飛行機雲と潮騒の町から・・オファーが

その日のあとで

ダイレクトメール。亡くなってからも来るんだ言うことをはじめて知った。そうだろう。相手は知らないし、殆どいったん登録したら相手側に削除してくれと要請しないと来る。私でも毎日40通ほどくる。

私も気が早いが、そろそろ、登録削除してくれとメールする準備でもしようか。

《 忘れてもいいよ 》

どんな気持ちで書いたのだろう。本当に泣ける。


読んだ後、考えた。

人は一人ではない、つながっているのだ。

亡くなった人々を花火が供養してくれる。







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